星と暦の研究室

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インド占星術とは?西洋とずれる星座と、27のナクシャトラ

公開 2026.10.16 読む目安 約11分

インド占星術は、インドで今も使われている星占いです。

サンスクリット語では「ジョーティシュ」(光の学問)と呼ばれます。結婚相手との相性や、式の日取りを決めるのに、今もよく使われています。

西洋占星術と同じように、12の星座と惑星を使います。ただし、星座の決め方が違うため、同じ生年月日でも西洋式とは別の星座になる人が多いのが特徴です。

この記事では、次のことを順に見ていきます。

  • 西洋占星術と星座がずれるしくみ
  • 自分のインド式の星座とナクシャトラの出し方(計算できます)
  • 月の27のナクシャトラと、9つの星
  • 日本の宿曜とのつながり

この記事のポイント

  • インド式の星座は西洋式より約24度ずれていて、8割ほどの人は太陽星座が1つ前になる
  • 太陽より月を重く見て、月のいる27のナクシャトラで性格や人生の時期を読む
  • ナクシャトラは仏教とともに中国へ渡り、『宿曜経』として日本の宿曜の元になった

インド占星術の成り立ち

インド占星術は、インドにもともとあった月の占いに、ギリシャの占星術が合わさってできました。

今のインドでの使われ方

インドでは、占星術が暮らしの中で使われています。

西洋占星術との違い

いちばん大きな違いは、星座の帯をどこから数えるかです。この違いで、星座が約24度ずれています。

春分点は、地球の首振り運動(歳差)のせいで、星空の中を約72年に1度ずつ動いています。

3世紀ごろには、2つの帯はほぼ重なっていました。そこから少しずつ離れて、2026年には約24度ずれています。

西洋占星術とインド占星術の星座の帯を上下に並べた図。4月1日生まれの太陽は、西洋式ではおひつじ座、インド式ではうお座に入る
インド式の帯は、西洋式より約24度うしろにずれている

8割ほどは太陽星座が1つ前

星座1つの幅は30度です。24度ずれると、各星座のはじめの24度ほどに太陽があった人は、インド式では1つ前の星座になります。

インド式でも星座は12個で、幅も30度ずつです。へびつかい座を入れる「13星座」の話とは別のものです。

ずれの値は、どうやって決めている?

ずれの大きさ(アヤナムシャ)には、いくつもの流派があります。

  • インドで最も広く使われているのは「ラヒリ」の値です。インド政府の暦改革委員会(1952年発足)がこの値を勧め、国の暦(ラーシュトリヤ・パンチャーン)に使われています
  • ラヒリの値は、おとめ座の1等星スピカ(インド名チトラー)が、インド式のてんびん座の始まりに来るように決めたものです
  • 2026年1月1日の値は約24度13分です。毎年約50秒(角度)ずつ増えます

この記事の計算も、ラヒリの値を使っています。

4月中ごろの新年もインド式

太陽がインド式のおひつじ座に入る日は、「メーシャ・サンクラーンティ」と呼ばれます。2026年は4月14日でした。

この日は、インドのパンジャーブ地方のヴァイサーキーや、タミル・ナードゥ州の新年など、南アジアから東南アジアに広がる「太陽の暦の新年」の元になっています。

西洋式では、太陽がおひつじ座に入るのは3月20日ごろの春分の日です。同じ「おひつじ座入り」が、3週間あまりずれています。

ナクシャトラの調べ方

生年月日を入れると、インド式の太陽の星座、月の星座、月のナクシャトラが無料で出ます。

:

入力した生年月日はこの画面の中だけで計算し、どこにも送信しません。

01

太陽の星座

生年月日を入れると出ます

02

月の星座(ラーシ)

インドでは太陽より重く見ます

03

月のナクシャトラ

27の宿のどれか

月と27のナクシャトラ

インド占星術は、太陽より月を重く見るのが特徴です。

性格を見るときも、まず月がどのナクシャトラにいるかを見ます。生まれた時刻が分からないときは、月のいる星座を仮の「ラグナ」にして読むこともあります。

ナクシャトラとは

ナクシャトラは、月の通り道を27に等分した区切りです。

ナクシャトラは、インドの暦の大事な要素の1つでもあります。インドの暦には、日ごとの「ナクシャトラ・ティティ(月の満ち欠けの日)・曜日・ヨーガ・カラナ」の5つが必ず書かれていて、まとめてパンチャーンガ(5つの要素)と呼ばれます。

27のナクシャトラ一覧

並びは、インド式のおひつじ座0度からの順です。かっこの中は漢訳の宿の名前で、国立天文台の暦Wikiの対応表によります。

  1. アシュヴィニー(婁宿) 支配星:ケートゥ
  2. バラニー(胃宿) 支配星:金星
  3. クリッティカー(昴宿) 支配星:太陽
  4. ローヒニー(畢宿) 支配星:月
  5. ムリガシラー(觜宿) 支配星:火星
  6. アールドラー(参宿) 支配星:ラーフ
  7. プナルヴァス(井宿) 支配星:木星
  8. プシュヤ(鬼宿) 支配星:土星
  9. アーシュレーシャー(柳宿) 支配星:水星
  10. マガー(星宿) 支配星:ケートゥ
  11. プールヴァ・パールグニー(張宿) 支配星:金星
  12. ウッタラ・パールグニー(翼宿) 支配星:太陽
  13. ハスタ(軫宿) 支配星:月
  14. チトラー(角宿) 支配星:火星
  15. スヴァーティー(亢宿) 支配星:ラーフ
  16. ヴィシャーカー(氐宿) 支配星:木星
  17. アヌラーダー(房宿) 支配星:土星
  18. ジェーシュター(心宿) 支配星:水星
  19. ムーラ(尾宿) 支配星:ケートゥ
  20. プールヴァ・アーシャーダー(箕宿) 支配星:金星
  21. ウッタラ・アーシャーダー(斗宿) 支配星:太陽
  22. シュラヴァナ(女宿) 支配星:月
  23. ダニシュター(虚宿) 支配星:火星
  24. シャタビシャー(危宿) 支配星:ラーフ
  25. プールヴァ・バードラパダー(室宿) 支配星:木星
  26. ウッタラ・バードラパダー(壁宿) 支配星:土星
  27. レーヴァティー(奎宿) 支配星:水星

28番目の「牛宿」(アビジット)を入れて28とする数え方もあります。

9つの星とダシャー

インド占星術で使う星は9つです。まとめて「ナヴァグラハ」(9つの星)と呼びます。

天王星・海王星・冥王星は、ふつうは使いません。

ラーフとケートゥ

ラーフとケートゥは、実際の星ではなく、月の通り道と太陽の通り道が交わる2つの点です。日食と月食は、太陽と月がこの点の近くにあるときに起こります。

インドの神話では、ラーフは不死の薬を盗み飲みした魔物です。ヴィシュヌ神に首を切られましたが、薬を飲んでいたので死なず、頭がラーフ、体がケートゥになりました。告げ口をした太陽と月を恨み、ときどき飲み込もうとする。これが日食・月食だ、という話です。

日本では、ラーフは羅睺(らごう)、ケートゥは計都(けいと)と訳されました。7つの星に2つを足した「九曜」は、密教の星の信仰を通して日本に伝わり、家紋の「九曜紋」の名前にも残っています。

ダシャー:人生の時期の区切り

インド占星術には、人生を星ごとの時期に区切って見る「ダシャー」という見方があります。いちばんよく使われるのは、120年でひと回りする「ヴィムショッタリ・ダシャー」です。

上の計算で出る「支配星」が、その人の最初のダシャーの星です。

結婚の相性の見方

インドのお見合い結婚では、2人のホロスコープを照らし合わせる「クンダリー・ミラン」がよく行われます。北インドで広く使われているのは「アシュタクータ」(8つの項目)という方法です。

点数だけで決めるのではなく、項目ごとの組み合わせや、ほかの星の配置もあわせて見るのがふつうです。南インドでは、10の項目で見る別の方法も使われています。

日本の宿曜との関係

ナクシャトラは、仏教とともに中国へ渡り、日本にも伝わりました。

インドの星占いが日本に来た流れの図。インドのナクシャトラ、759年に唐の不空が宿曜経を漢訳、806年に空海が日本へ持ち帰り、宿曜師の宿曜道を経て今の宿曜占星術につながる
インドのナクシャトラは、宿曜経として日本に来た

同じ「宿」でも、出し方が違う

インドと日本の宿曜は、同じ27の宿を使いますが、宿の出し方が違います。

仏教に取り入れられた宿曜では、月の正確な位置を計算するかわりに、日付から1日に1宿ずつ割り当てる簡単な方法になりました。そのため、同じ人でも、インド式のナクシャトラと日本の宿曜の本命宿は、別の宿になることが多いです。

オリエンタル占星術の本命宿も、日本の宿曜と同じ旧暦の出し方で決まります(オリエンタル占星術の記事で、くわしく紹介しています)。

解明できていないこと

ご存じの方は、ご意見・ご要望からぜひ教えてください。

まとめ

西洋式の星の配置も見てみたい方は、ホロスコープで出生図を出してみてください。

西洋式のホロスコープで、生まれた日の星を見る

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