鬼滅の刃で、炭治郎・善逸・伊之助が最終選別を通って最初にもらった階級は「癸(みずのと)」。いちばん上は「甲(きのえ)」で、その上に煉獄杏寿郎や時透無一郎たち柱がいます。
この甲・乙・丙……の10文字は「十干(じっかん)」といって、四柱推命や算命学、九星気学の暦にも出てくる、占いの基本の文字です。この記事では、作中の階級と占いの十干を並べてみます。
この記事のポイント
- 鬼殺隊の10の階級は、甲から癸までの「十干」そのまま
- 十干は、木火土金水の5つを「兄(え)」と「弟(と)」に分けた10個
- 占いの十干には上下がなく、順番にめぐるだけ。2026年は丙
鬼殺隊の階級は、十干そのまま
鬼殺隊の階級は10段階。上から順に、十干の並びと同じです。
| 階級 | 読み | 五行 |
|---|---|---|
| 甲 | きのえ | 木の兄 |
| 乙 | きのと | 木の弟 |
| 丙 | ひのえ | 火の兄 |
| 丁 | ひのと | 火の弟 |
| 戊 | つちのえ | 土の兄 |
| 己 | つちのと | 土の弟 |
| 庚 | かのえ | 金の兄 |
| 辛 | かのと | 金の弟 |
| 壬 | みずのえ | 水の兄 |
| 癸 | みずのと | 水の弟 |
- 最終選別を通った剣士は、いちばん下の癸から始まります。炭治郎たちも、那田蜘蛛山の戦いのころはまだ癸でした
- 階級は手の甲に「藤花彫り」で刻まれていて、「階級を示せ」と言うと字が浮かび上がります。遊郭編では、伊之助が手の甲の「庚」を見せて、癸から上がったことを炭治郎に教えます
- 公式ファンブックでは、炭治郎の最後の階級は「丙」。上から3番目です
十干は「5つ × 兄と弟」
読み方を見ると、「きのえ・きのと」「ひのえ・ひのと」と、2つずつペアになっています。
- 頭の「き・ひ・つち・か・みず」は、五行の木・火・土・金・水
- 最後の「え」は兄、「と」は弟。陰陽でいうと兄が陽、弟が陰です
つまり、甲(きのえ)は「木の兄」、癸(みずのと)は「水の弟」。5つの五行を兄と弟に分けて、10個になっています。
水の呼吸を習った炭治郎の最初の階級が、「水」の干の癸だったのは、ちょっとおもしろい偶然です。
十干は、もとは「日の名前」
十干は、中国の殷(いん)の時代に、10日でひと回りする日の名前として使われていました。10日間のことを「旬(じゅん)」といい、今の「上旬・中旬・下旬」にもこの言葉が残っています。
木火土金水と結びついたのは、ずっと後の漢の時代です。そのあと十二支と組み合わせて、年や日を「甲子」「丙午」のように呼ぶようになりました。
甲・乙・丙…の字には、どんな意味がある?
「みずのえ」「みずのと」という読み方を見ると、「水の兄」を表すために「壬」という字が作られたように思えます。でも実は、漢字のほうが先です。
殷の時代から日の名前として使われていた字に、あとから五行と兄・弟が割り当てられ、日本で「みずのえ」のような読み方が付きました。ちなみに「えと(干支)」という言葉も、この兄(え)と弟(と)から来ています。
では、甲・乙・丙…の字そのものには、どんな意味があるのでしょうか。漢の時代の歴史書『漢書』には、1文字ずつこんな説明があります。
- 甲:芽が殻を破って出る
- 乙:曲がりながら、ぐいぐい伸びる
- 丙:明るく、はっきり現れる
- 丁:大いに盛ん。一人前に育つ
- 戊:豊かに茂る
- 己:筋道が整う
- 庚:引き締まって、改まる
- 辛:すべてが新しくなる
- 壬:内に宿す
- 癸:測れるようになる
甲から癸まで通して読むと、芽が出て、育ち、茂り、実って、また次を宿す、という植物の一生のように読めます。炭治郎たちは「次を宿す」癸から始まって、「明るく現れる」丙までのぼったことになります。
ただし、これは漢の時代の人が後からつけた意味づけです。字のもとの成り立ちは、甲が「芽が殻をかぶった形」か「兜をかぶった人」かなど、学者の間でも説が分かれています。
大正時代、十干は「ランク」の文字だった
鬼滅の刃の舞台は大正時代です。このころの日本では、十干は順位や等級をつける文字としてふつうに使われていました。
- 学校の成績:甲・乙・丙・丁で評価されていました
- 徴兵検査:体の検査の結果を、甲種・乙種(現役に向く)、丙種、丁種(不合格)、戊種(翌年に再検査)に分けていました
「一番、二番」と同じ感覚で「甲、乙」が使われていたわけです。大正の組織が階級に十干を使っているのは、時代の空気に合っています。ただ、作者がなぜ十干を選んだのかを説明した発言は、見つけられていません。
今の暮らしにも、このランクの使い方は残っています。
- 「甲乙つけがたい」=どちらが上とも決めにくい
- 契約書の「甲」「乙」
- 甲子園球場は、完成した1924年が「甲子(きのえね)」の年だったことからの名前です
占いの十干には、上も下もない
ここが、鬼殺隊と占いのいちばん大きな違いです。
鬼殺隊では甲が上、癸が下でした。でも占いの十干は、甲から癸まで順番にめぐるだけで、どれが偉いということはありません。癸の次はまた甲に戻ります。
- 年の十干:2024年は甲、2025年は乙、2026年は丙、2027年は丁。今年の「丙午(ひのえうま)」の丙は、炭治郎が最後にたどり着いた階級と同じ字です
- 日の十干:日にも十干があり、10日でひと回りします。四柱推命では、生まれた日の十干を「日干(にっかん)」と呼び、その人自身を表す文字として読みます
- 五行どうしの関係:占いで見るのは上下ではなく、木は火を生む、水は火を消す、といった五行どうしの関係です
たとえば四柱推命の解説では、同じ水でも壬(水の兄)は海や川、癸(水の弟)は雨や露にたとえられます。炭治郎がスタートした癸も、階級なら一番下ですが、占いではただの「水の性質」です。
奇門遁甲は「甲を隠す」占い
十干は、方位を見る奇門遁甲にも出てきます。奇門遁甲では、いちばん尊い「甲」を盤にそのまま置かず、ほかの干の下に隠して数えます。これが「甲を遁(かく)す」=遁甲の名前の由来とされます。
同じ「占術とアニメ」のNARUTOの八門遁甲の記事で、奇門遁甲の八門を紹介しています。
十二鬼月の「上弦・下弦」は月の名前
鬼の側の十二鬼月にも、暦や天文の言葉が使われています。上弦の壱〜陸、下弦の壱〜陸の「上弦・下弦」は、半月の名前です。
- 上弦:上弦の壱・黒死牟、無限列車のあとで煉獄杏寿郎と戦った上弦の参・猗窩座など
- 下弦:無限列車の下弦の壱・魘夢、那田蜘蛛山で炭治郎たちと戦った下弦の伍・累など
月の言葉としては、こういう意味です。
- 上弦の月:新月から満月へ、満ちていく途中の半月。夕方に南の空に高く見え、真夜中に沈みます
- 下弦の月:満月から新月へ、欠けていく途中の半月
月そのものに上下はありませんが、作中では上弦が上位、下弦が下位です。無惨が「下弦は弱い」として下弦の鬼たちを始末する場面もありました。夜に生きる鬼の位に月の名前を使い、「上・下」の字で強さを分けているのかもしれません。
まとめ
- 階級は十干そのまま:鬼殺隊の甲〜癸の10段階は、十干の並びと同じ。炭治郎は癸から始まり、最後は丙
- 十干は5つ × 兄と弟:木火土金水を、兄(え=陽)と弟(と=陰)に分けた10個。きのえ=木の兄
- 大正時代はランクの文字:成績や徴兵検査の等級に使われていた。「甲乙つけがたい」に今も残る
- 占いでは上下がない:十干は順番にめぐるだけ。2026年は丙で、四柱推命では生まれた日の干を読む
- 上弦・下弦は半月の名前:猗窩座や累の位は、満ちていく半月と欠けていく半月の名前
今年が丙午になった理由や、60年に一度の干支の話は、丙午(ひのえうま)の記事で読めます。
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