星と暦の研究室

吉方位の基本

吉方位の「方角」は地図で変わる ― 大圏とメルカトルの違い

公開 2026.10.10 読む目安 約5分

吉方位を調べるとき、「その場所がどの方角か」は当たり前に決まっているように思えます。でも実は、どの地図で測るかによって方角が変わります。

国内や近い国なら、ほとんど差はありません。ところが、ヨーロッパやアメリカのような遠い場所になると、方位そのもの(北西か西か、など)が変わってしまうことがあります。

この記事のポイント

  • 吉方位の「方角」は、地球を丸く測る「大圏」と、四角い地図に線を引く「メルカトル」で変わる
  • 国内・アジア・オセアニアではほぼ同じ。ヨーロッパやアメリカ大陸では方位そのものが変わる
  • どちらが当たるかを比べたデータはない。海外へ行くときは両方で見比べるのがおすすめ

2つの測り方

大圏(たいけん)

地球の上で、2つの場所を結ぶいちばん短い道の向きです。飛行機は、だいたいこの道に沿って飛びます。

地球は丸いので、この道は紙の地図の上では曲がった線になります。

メルカトル

学校の地図帳でよく見る、四角い世界地図(メルカトル図法)に定規でまっすぐ線を引いたときの向きです。コンパスの向きを変えずに進み続ける道(等角航路)と同じです。

紙の上では直線ですが、地球の上では遠回りになります。遠くへ行くほど、いちばん短い道の向きからずれていきます。

東京から見ると、どれくらい違う?

東京から主な都市への方角を、2つの方法で計算しました。方位の区切りは九星気学(北・東・南・西が30°、北東・南東・南西・北西が60°)です。

行き先大圏メルカトル方位
ソウル284° 西280° 西同じ
札幌9° 北9° 北同じ
那覇231° 南西228° 南西同じ
台北241° 南西236° 南西同じ
バンコク248° 南西238° 南西同じ(角度は10°ずれる)
シドニー170° 南171° 南同じ
ホノルル87° 東105° 東同じ(角度は18°ずれる)
ロサンゼルス56° 北東91° 東変わる
ニューヨーク25° 北東87° 東変わる
ロンドン336° 北西279° 西変わる
パリ334° 北西277° 西変わる
リマ64° 北東109° 南東変わる

(角度は真北から時計回り)

日本の中やアジア・オセアニアでは、どちらで測っても方位は同じでした。一方で、アメリカ大陸とヨーロッパは方位が変わります。たとえばニューヨークは、紙の地図ではほぼ真東に見えますが、地球の上のいちばん短い道は北東へ向かいます。アラスカの近くを通るルートです。

ちなみに、メルカトルの線に沿って進むと、道のりも長くなります。東京からニューヨークは、大圏で約10,800km、メルカトルの線では約12,800kmです。

なぜこんなに違うのか

四角い世界地図は、丸い地球を無理に平らに広げたものです。そのため、北や南へ行くほど、陸地が横に引き伸ばされています(グリーンランドがアフリカ並みに大きく見えるのはこのため)。

この引き伸ばしのせいで、地図の上の「まっすぐ」と、地球の上の「まっすぐ」がずれます。近くの2点ならずれは小さいのですが、遠くなるほど大きくなります。特に、北の方を通るルート(日本からヨーロッパ・北米)で差が開きます。

「正距方位図法」「方位線」「正方位線」も同じ話

吉方位の解説では、いろいろな呼び方が出てきます。中身は2つのどちらかです。

呼び方中身
大圏、正距方位図法、地球儀、球面三角法、正方位線地球を丸いまま測る(大圏)
メルカトル、メルカトル図法、紙の地図、方位線(直線)四角い地図にまっすぐ線を引く

正距方位図法は、自分のいる場所を真ん中にした丸い地図です。真ん中から引いたまっすぐな線が、そのまま大圏の向きになります。なので「正距方位図法で見る」と「大圏で見る」は、方角としては同じ意味です。

方位線を引くアプリやサイトの中には、両方の線を並べて見せるものもあります。紙の地図の線(方位線)と、地球を丸く考えた線(正方位線)で「結構な誤差がある」と注意しているものもありました。

吉方位ではどちらを使う?

流派や先生によって分かれます。

どちらがよく当たるかを比べたデータは、見つかりませんでした。 なので、このサイトでは「どちらが正しい」とは言いません。

このサイトの吉方位ツールでは、

近場や国内の旅行なら、どちらでもほぼ同じ結果です。海外、特にヨーロッパやアメリカへ行くときは、両方で見比べてみてください。 片方では吉、もう片方では凶、ということも起こります。

推測

なぜ決着がついていないのか

ここからは、はっきりした資料がない推測です。

九星気学が体系化されたのは1924年です。一方、日本で観光の海外旅行が自由になったのは1964年でした。たくさんの人が外国へ行くようになったのは、ここ数十年のことです。2019年には、海外へ出かけた日本人が約2,000万人になりました。

そして、2つの測り方で方位が変わるのは、ヨーロッパやアメリカ大陸のような遠い場所だけです。アジア、オセアニア、ハワイなら、どちらで測っても同じ方位になります。

つまり、

ので、「どちらの方が当たるか」を比べる材料が、なかなかたまらなかったのではないかと思います。

さらに、「吉方位に行ったら良いことがあった」は、本人の感じ方が大きく、一人ひとりの体験になりがちです。同じ条件で2つの方法を比べるのは、今でも簡単ではありません。

ついでに:北はどこ?(真北と磁北)

方角には、地図の北の測り方の違いもあります。

日本では、磁北は真北より西にずれています。国土地理院の2020年の値では、関東で約6〜8°、いちばん大きい北海道で約11°です。少しずつ変わっていきます。

吉方位では真北で見るのが大多数だ、と書いている解説がありました。このサイトも真北で測っています。

地図で見比べる

東京から大圏で塗った方位の地図。ニューヨークへの点線は北東へ曲がってアラスカの近くを通る
大圏で測った場合(東京から。点線はニューヨークへの大圏。色は吉凶の一例)
同じ日をメルカトルで塗った方位の地図。扇はまっすぐで、ニューヨークへの点線は真東へ伸びる
メルカトルで測った場合(同じ人・同じ日。点線はまっすぐ東へ)

→ 九星気学の吉方位 の「旅行・引越しの方位を調べる」で、出発地を入れると、地図の上で「方角の測り方」を切り替えられます。

九星気学の吉方位で、大圏とメルカトルを切り替えて見る

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