吉方位を調べるとき、「その場所がどの方角か」は当たり前に決まっているように思えます。でも実は、どの地図で測るかによって方角が変わります。
国内や近い国なら、ほとんど差はありません。ところが、ヨーロッパやアメリカのような遠い場所になると、方位そのもの(北西か西か、など)が変わってしまうことがあります。
この記事のポイント
- 吉方位の「方角」は、地球を丸く測る「大圏」と、四角い地図に線を引く「メルカトル」で変わる
- 国内・アジア・オセアニアではほぼ同じ。ヨーロッパやアメリカ大陸では方位そのものが変わる
- どちらが当たるかを比べたデータはない。海外へ行くときは両方で見比べるのがおすすめ
2つの測り方
大圏(たいけん)
地球の上で、2つの場所を結ぶいちばん短い道の向きです。飛行機は、だいたいこの道に沿って飛びます。
地球は丸いので、この道は紙の地図の上では曲がった線になります。
メルカトル
学校の地図帳でよく見る、四角い世界地図(メルカトル図法)に定規でまっすぐ線を引いたときの向きです。コンパスの向きを変えずに進み続ける道(等角航路)と同じです。
紙の上では直線ですが、地球の上では遠回りになります。遠くへ行くほど、いちばん短い道の向きからずれていきます。
東京から見ると、どれくらい違う?
東京から主な都市への方角を、2つの方法で計算しました。方位の区切りは九星気学(北・東・南・西が30°、北東・南東・南西・北西が60°)です。
| 行き先 | 大圏 | メルカトル | 方位 |
|---|---|---|---|
| ソウル | 284° 西 | 280° 西 | 同じ |
| 札幌 | 9° 北 | 9° 北 | 同じ |
| 那覇 | 231° 南西 | 228° 南西 | 同じ |
| 台北 | 241° 南西 | 236° 南西 | 同じ |
| バンコク | 248° 南西 | 238° 南西 | 同じ(角度は10°ずれる) |
| シドニー | 170° 南 | 171° 南 | 同じ |
| ホノルル | 87° 東 | 105° 東 | 同じ(角度は18°ずれる) |
| ロサンゼルス | 56° 北東 | 91° 東 | 変わる |
| ニューヨーク | 25° 北東 | 87° 東 | 変わる |
| ロンドン | 336° 北西 | 279° 西 | 変わる |
| パリ | 334° 北西 | 277° 西 | 変わる |
| リマ | 64° 北東 | 109° 南東 | 変わる |
(角度は真北から時計回り)
日本の中やアジア・オセアニアでは、どちらで測っても方位は同じでした。一方で、アメリカ大陸とヨーロッパは方位が変わります。たとえばニューヨークは、紙の地図ではほぼ真東に見えますが、地球の上のいちばん短い道は北東へ向かいます。アラスカの近くを通るルートです。
ちなみに、メルカトルの線に沿って進むと、道のりも長くなります。東京からニューヨークは、大圏で約10,800km、メルカトルの線では約12,800kmです。
なぜこんなに違うのか
四角い世界地図は、丸い地球を無理に平らに広げたものです。そのため、北や南へ行くほど、陸地が横に引き伸ばされています(グリーンランドがアフリカ並みに大きく見えるのはこのため)。
この引き伸ばしのせいで、地図の上の「まっすぐ」と、地球の上の「まっすぐ」がずれます。近くの2点ならずれは小さいのですが、遠くなるほど大きくなります。特に、北の方を通るルート(日本からヨーロッパ・北米)で差が開きます。
「正距方位図法」「方位線」「正方位線」も同じ話
吉方位の解説では、いろいろな呼び方が出てきます。中身は2つのどちらかです。
| 呼び方 | 中身 |
|---|---|
| 大圏、正距方位図法、地球儀、球面三角法、正方位線 | 地球を丸いまま測る(大圏) |
| メルカトル、メルカトル図法、紙の地図、方位線(直線) | 四角い地図にまっすぐ線を引く |
正距方位図法は、自分のいる場所を真ん中にした丸い地図です。真ん中から引いたまっすぐな線が、そのまま大圏の向きになります。なので「正距方位図法で見る」と「大圏で見る」は、方角としては同じ意味です。
方位線を引くアプリやサイトの中には、両方の線を並べて見せるものもあります。紙の地図の線(方位線)と、地球を丸く考えた線(正方位線)で「結構な誤差がある」と注意しているものもありました。
吉方位ではどちらを使う?
流派や先生によって分かれます。
- 地球は丸いのだから大圏で見る、という考え方。最近はこちらが主流だと思う、と書いている解説もあります
- 昔からの地図帳と同じメルカトルで見る、という考え方。長く吉方旅行を教えている先生の本でもメルカトルが使われている、と紹介している解説がありました
- 流派の違いを「どちらが正しいかの二択ではなく、自分で試して合う方を」と書いている解説もあります
どちらがよく当たるかを比べたデータは、見つかりませんでした。 なので、このサイトでは「どちらが正しい」とは言いません。
このサイトの吉方位ツールでは、
- 最初は大圏で測ります
- ボタンでメルカトルに切り替えられます
近場や国内の旅行なら、どちらでもほぼ同じ結果です。海外、特にヨーロッパやアメリカへ行くときは、両方で見比べてみてください。 片方では吉、もう片方では凶、ということも起こります。
推測
なぜ決着がついていないのか
ここからは、はっきりした資料がない推測です。
九星気学が体系化されたのは1924年です。一方、日本で観光の海外旅行が自由になったのは1964年でした。たくさんの人が外国へ行くようになったのは、ここ数十年のことです。2019年には、海外へ出かけた日本人が約2,000万人になりました。
そして、2つの測り方で方位が変わるのは、ヨーロッパやアメリカ大陸のような遠い場所だけです。アジア、オセアニア、ハワイなら、どちらで測っても同じ方位になります。
つまり、
- 昔は、遠い外国へ行く人そのものが少なかった
- 今でも、よく行く行き先の多くは、そもそも差が出ない場所
ので、「どちらの方が当たるか」を比べる材料が、なかなかたまらなかったのではないかと思います。
さらに、「吉方位に行ったら良いことがあった」は、本人の感じ方が大きく、一人ひとりの体験になりがちです。同じ条件で2つの方法を比べるのは、今でも簡単ではありません。
ついでに:北はどこ?(真北と磁北)
方角には、地図の北の測り方の違いもあります。
- 真北:地球の北極点の方向。地図の真上
- 磁北:方位磁石が指す北。真北から少しずれています
日本では、磁北は真北より西にずれています。国土地理院の2020年の値では、関東で約6〜8°、いちばん大きい北海道で約11°です。少しずつ変わっていきます。
吉方位では真北で見るのが大多数だ、と書いている解説がありました。このサイトも真北で測っています。
地図で見比べる


→ 九星気学の吉方位 の「旅行・引越しの方位を調べる」で、出発地を入れると、地図の上で「方角の測り方」を切り替えられます。
九星気学の吉方位で、大圏とメルカトルを切り替えて見る
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